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煙突の見える場所 [映画]

『煙突の見える場所』という映画を鑑賞。昭和28年作。
まだ新東宝の作品に元気が有った頃の映画。
ベルリン国際映画祭国際平和賞という賞を受賞してるそうで。
タイトルに有る煙突とは、当時千住の川っぺりに立っていた
お化け煙突の事。名前だけは知っていたけど、それ以上の事を知らなかった。
東京オリンピックと共に無くなっていて、今は東京電力のグラウンドに
変わり果てているとの事。映画では何度も見る場所によって
本数が変わる事を見せてくれる。空撮の映像は貴重でしょうね。

上原謙さんがこんなに貧乏な庶民を演じている作品を初めて観た。
同じく田中絹代さんのくたびれた表情も役に入りきっていて見事。
この夫婦が暮らす家の2階には、ふすまで区切られた下宿人の男女二人。
ふすま越しに会話したり、唐突に出入りしたり、覗き見したり。
プライバシーを守るのが非常に困難。私はこの環境は非常に辛い。(^_^;)
この4人が、捨て子を軸にして動き回ると。4本の煙突とかけてます。
4が4の時も有れば、3や2や1に刻々と変化。

一番キャラがぼんやりしていたのは、高峰秀子さん演じるOLさん。
ジャンケンでのぼやき、浮気を予想してのぼやき、どうもスッキリしない。

そのぼんやりさんの相方を演じるは、芥川比呂志さん。
自分にハッパをかけるスローガンを書いて壁に貼る分かりやすいキャラ。
それ故、正義が空回りする様は観ていてとてももどかしい。
正義を遂行するには、金と時間と手間がかかると。
そして、その正義は受け手が受け止めてくれないと成り立たないと。

ビックリしたのは、冒頭に聴こえて来るラジオの音声。
JOQRというコールサイン。当時は日本文化放送という局名だったのね。
なんだか、簡易タイムマシンの様で興奮してしまいました。
当時は、ラジオを売るだけで商売が成り立つ時代だったんですね。
この映画、かなりリアルにタイムスリップを楽しめる希有な作品でした。
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